企業倫理行動指針

社会の秩序を確保するため、「反社会的勢力に対する基本方針」に従った対応を徹底しています。

元代表取締役松平和喜氏の善管注意義務違反・忠実義務違反という任務懈怠

元代表取締役松平和喜氏の在任中に発生した任務懈怠等は、代表取締役解任後から現在に至るまでの調査や民事訴訟において明らかとなりました。

以下、要旨をご説明致します。

①反社会的勢力に対する総額3,000万円に上る利益供与

元代表取締役松平和喜氏は、平成19年3月16日と同年3月23日に、総額約2,400万円に上る「メルセデスベンツ自動車リース契約」を取締役会決議を経ずに締結し、反社会的勢力らに便宜を図るため、メルセデスベンツS550ロングを株式会社デジットマスター代表取締役山本幸雄氏に、メルセデスベンツSL550AMGを株式会社メディカルネットバンク代表取締役堀内英紀氏に無償で貸与しています。さらに、平成19年7月トヨタクラウンAthleteを株式会社デジットマスターに貸与していたことが、平成19年9月からの調査で明らかとなっています。

その結果、当該車両が回収されなかったため約3,000万円に上る損害を被りました(会社法330条・355条)。

②反社会的勢力との利益相反取引

株式会社デジットマスターは、弊社親会社との間で平成19年2月1日弊社株式譲渡契約を締結し、平成19年2月28日迄に株式譲渡代金12億円を支払うことになっていましたが支払われなかったため、平成19年3月・4月・5月に開催された親会社・弊社取締役会において、株式譲渡契約の解除について審議され、議長である代表取締役松平和喜氏が、支払猶予を与える議案を提案し、猶予を与える決議がなされています。

しかし、当時代表取締役松平和喜氏は、自宅に隣接する松平百合夫人名義の賃貸用一戸建てを株式会社デジットマスター代表取締役山本幸雄氏に月額家賃100万円で賃貸していることを取締役会に報告し承認を得ておらず、利益相反取引の疑いが認められました。

なお、会社法においは、会社の利益を保護するため、取締役が利益相反取引を行う場合に、株主総会の承認を受けなければならないと定めています(会社法356条)。

③昭和ゴム株式4億9,700万円の損失

弊社は、昭和ゴム株式会社(現社名:昭和ホールディングス株式会社(東証2部)、以下、「昭和ゴム」という)との間で平成19年4月16日第3回新株予約権買取契約証書を締結し、平成19年6月22日新株予約権を行使し、4億9,700万円を払込み350万株を取得して、筆頭株主(13.21%)となりました。しかし、昭和ゴム名義書換代理人であるみずほ信託銀行から弊社に送付されるべき昭和ゴム株式を反社会的勢力であるK氏に送付していた事実が判明しました。

弊社は、K氏とは何ら取引関係もないことから、八重洲総合法律事務所に依頼して調査を実施致しました。その結果、株式をK氏に送付するよう指示した文書の存在が明らかとなり、元代表取締役松平和喜氏に文書提出の経緯を照会しましたが、何ら回答を得ることができませんでした。

弊社において4億9,700万円に上る株式譲渡に際しては、会社の経営に重要な影響を与える資産の譲渡に該当する為、弊社の取締役会規則に照らし取締役会決議が必要となりますが、株式譲渡に関する取締役会は開催されていないことも明らかとなり、元代表取締役松平和喜氏による意思決定の過程・内容が不適切なものである疑いが認められました。

なお、会社法においても、取締役会は、「重要な財産の処分及び譲受け」のような重要な業務執行の決定を取締役に委任することができないと定めています(会社法330条・355条・362条)。

④昭和ゴム株式350万株の担保提供

元代表取締役松平和喜氏は、平成19年7月、株式会社デジットマスター代表取締役山本幸雄氏がK氏に送付された弊社名義の昭和ゴム株式350万株を占有していることを知りながら、回収することなく、弊社取締役会の決議を経ずに山本幸雄氏が実施した資金調達の担保として、株式を供することに同意した事実が明らかになりました。このことは、株式の管理に際し、適切な指示を怠った、さらには、株式の回収業務を怠ったものと考えられます(会社法330条・355条)。

⑤昭和ゴム株式350万株の回収義務

所在不明となっていた弊社名義の昭和ゴム株式350万株が昭和ゴム代表取締役社長重田衞氏の仲介により、平成19年9月27日VTホールディングス株式会社(東証1部)に284万株が譲渡され、同26日66万株が市場で売却されていることが明らかとなりました。しかし、今日に至るも、株式譲渡代金相当額である5億50万円の入金が確認できておりません。このことは、元代表取締役松平和喜氏が、株式の管理に際し、適切な指示を怠った、さらには、株式の回収業務を怠ったものと考えられます(会社法330条・355条)。

⑥反社会的勢力への債権譲渡

平成20年2月18日元代表取締役松平和喜氏の代理人と称する反社会的勢力であるM氏らによる金銭交付及び昭和ゴム新株予約権の無償譲渡などの恐喝行為を拒絶すると、平成20年2月25日、親会社の代表取締役も兼務していた元代表取締役松平和喜氏は、親会社が弊社に対して保有する売掛金債権5,791万8,000円(平成19年3月31日時点)をM氏に対して譲渡したと内容証明郵便で通知してきました。

さらに、反社会的勢力であるM氏は、同年2月25日付で、昭和ゴムに対して、この譲渡を受けた売掛金債権をもって、弊社が有する新株予約権(時価2,150万円)を差し押さえる旨通知をしてきました。

なお、元代表取締役松平和喜氏は、債権譲渡の代金を横領した疑いもあり、善菅注意義務違反、忠実義務違反に相当するものと考えられます(会社法330条・355条)。

⑦昭和ゴム新株予約権2,150万円の損失

元代表取締役松平和喜氏が反社会的勢力であるM氏に債権を譲渡し、昭和ゴムに対し新株予約権を差し押さえる旨の通知をしたことから、昭和ゴムは、弊社親会社代表取締役松平和喜氏が反社会的勢力らと親密な関係を有しているものと判断し、平成20年7月11日新株予約権を無償で取得償却したため、これにより弊社は2,150万円の損害を被りました(会社法330条・355条)。

⑧公正証書原本不実記載等罪

平成28年6月23日に実施した東京法務局における調査により、元代表取締役松平和喜氏が登記に必要な書類を偽造して不実の登記を行っていた事実が明らかになりました。この変更登記手続きにあたり、元代表取締役松平和喜氏が作成した取締役会議事録では、平成19年5月14日に取締役会を開催し、自らを除く全役員が辞任し、新たな役員候補を選任したとする決議をしていますが、既に取締役白木智貢・長岡隆・新里善隆、監査役山田剛夫は、平成19年2月に退任しており、いずれも参加しておりません。参加していない白木智貢、長岡隆、新里善隆が記名捺印していることからも、偽造した取締役会議事録が提出されています。

さらに、平成19年5月23日開催された臨時株主総会においても、取締役白木智貢・新里善隆、監査役山田剛夫が参加し、記名捺印したと臨時株主総会議事録に記載されていますが、そのような事実は一切存在しません。

にもかかわらず、変更登記申請書では、取締役白木智貢・長岡隆・新里善隆は、平成19年5月23日付けで退任し、新たに2名の取締役が就任した旨が登記されています。

株主に対する調査からも平成19年5月23日に臨時株主総会は開催された事実は確認できておりません(会社法429条、刑法157条)。